一級建築士 製図試験 ー課題の読み込み実践編ー

建築士製図

ー課題の読み込み基本編ーでは

  1. 課題の読み取りの重要性
  2. 課題の読み取りの要素
  3. 試験元からの要求の種類

この3つを知っておこうということを伝えました。

でもこの3つを知っていても、 結局どうやったらうまく課題を読み取りできるの?
読み落としを減らすにはどうすんの?
となりますよね。

今回はノロアリ の読み取りを説明していきたいと思います。

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うまく課題の読み取りをするには

私もどうやったら読み落とし・ミスがなくなるのか、H29年落ちたあと、考えました。 読み落とし・ミスが直接合否の行方を決めることがH29年の試験で嫌というほど身にしみていたからです。

「読み取り方(手段)」よりも先に「読み落とし・ミスがなくなるには(目的)」どうすればいいんだと。
あれこれ考えた末に

「わかりやすく、確認しやすく、チェックしやすく」というシンプルな考え方にたどり着きました。

考え方さえぶれなければ

  • 手段は何回でも改善をしていけばいい
  • 自分にあった手段をとっていける

と思ったからです。

わかりやすく、確認しやすく、チェックしやすく

わかりやすく→ 言い回しが複雑なものはよりシンプルに

確認しやすく→各工程(エスキス時、作図時、計画の要点記述時)でひと目で分かるように

チェックしやすく→ミスしてもすぐに修正できるように・チェック時に間違いだと気づけるように

課題をやっていくうちにノロアリ の手法が確立していきました。その手法を紹介していきたいと思います。

  1. 課題文とのコミュニケーションを工夫
  2. 課題文を読む順番を変える
  3. 情報・条件整理

ではそれぞれ詳しく説明していきますね。

課題文とのコミュニケーションを工夫

コミュニケーション=課題の読み取り

基本編でも言ったように「コミュニケーション=課題の読み取り」です。
人付き合いでも、こちらが苦手だと思い距離を置けば、相手も距離を置き語りかけてこないです。逆に喋りやすいなと思い距離を縮めれば、相手も距離を縮め語りかけてきます。試験も一緒です。

してはいけない事として

  • 試験だからといって身構えない
  • 難しいなぁって思わない
  • できるのかなぁって不安に思わない

これらをしてしまうと試験元と距離を置いてしまう事になるからです。

しなければならない事

  1. あいさつ
  2. 会話口調にして読む

この2つで試験元とグッと距離を縮めれるはずです。

1.あいさつ

試験開始後すぐに心の中で「こんにちは、本日はよろしくお願いします。」って課題にあいさつをする事。あいさつは試験元と距離を縮めてくれます。

2.会話口調にして読む

課題をそのまま読むのではなく、会話口調にして読む事で擬似的に試験元と打合せしている状態にするのです。

大事なことは

大事なのは、試験元と距離を置かないという事。距離が縮めれれば縮めれるほど頭に入ってきやすくなるものです。
ほぼ精神論みたいなことかもしれませんが、やるのは簡単です。誰でもできます。特にあいさつは

課題文を読む順番を変える

順番は大枠から詳細へ

課題文は大枠部分から詳細部分(要求室・屋外施設・その他施設等)といった順番には書いてくれてません。もしかしたら課題文のレイアウトも今年から変更になる可能性もゼロではありません。
基本編で課題の読み取りの要素の一つ、”全体をつかむことで方向性を決定する”でお伝えしたようにように

  • 意図
  • ボリューム
  • 成果品のイメージ

を掴むことができます。

掴んだ上で方向性を決定していくには、大枠部分から詳細部分の順で読めば比較的簡単に解決できます。
ノロアリ の読む順は

  1. 設計概要
  2. 敷地及び周辺条件
  3. 留意事項
  4. 計画の要点等
  5. 屋外施設・その他施設等
  6. 建築物
  7. 要求図面
  8. 面積表

です。

大事なことは

ここで大事なのは、ノロアリ が読む順番ではなく、大枠から詳細の順になっていればいいということ。これも誰でも簡単にできます。

情報・条件整理

読み取りがうまくできたとしても…

読み取りがうまくできたとしても実は落とし穴はあります。
正直、条件が多すぎて

  • 読んだだけでは覚えきれない
  • エスキス途中で忘れてしまう
  • 少してこずってしまうとついつい忘れてしまう

など事実上読み取り落とし・ミスを誘発してしまうものは多いです。
皆さんも課題を解き終わった後、解答例を見て読んだはずなのに忘れてたみたいなことあると思います。

この多くの条件をうまく整理できれば

  • 頭に入ってきやすく
  • おかしな箇所に気が付きやすく
  • エスキス時に困った時も解決する手掛かりがりが見つかりやすく
  • いつもと違う箇所にも意識が回しやすく

といったメリットがあります。
メリットがわかってもどうやって整理するの?

どうやって整理するの?

  1. 自分の考えは含まず要求通りに整理する
  2. 要求別に整理する
  3. 簡略的なスケッチ

の3つです。
最初はやや難しいと思いますがやってみてください。

1.自分の考えは含まず要求通りに整理する

自分の考えを含んで整理すると、課題の要求と自分の考えがごちゃ混ぜになります。
結果、読み取り間違えないを誘発してしまいます。

なので整理するときは、課題に書かれている要求通りに整理しないとダメです。
その後、エスキス時に自分の考えで解くようにしましょう。

2.要求別に整理する

プランニングについての要求と作図、要点についての要求で別々に整理すること。
これに関してはごちゃ混ぜにはなりにくいですがそれぞれの要求別に整理することでわかりやすくなります。

プランニングについての要求は

  • 空間構成に関して(配置計画や動線・ゾーニングなど)
  • 建築計画
  • 構造計画
  • 設備計画

作図、要点についての要求は

  • どこを描くか、何を描くか
  • 表現方法

3.簡易的なスケッチ

人間文章より絵があれば理解力が増すものです。そこで簡易的なスケッチをすることをお勧めします。スケッチがあれば

  • 視覚的に認知しやすい
  • 間違えててもすぐにミスを発見しやすい
  • スケッチを描くことで頭が整理される

の3つのメリットがあります。

時間をかけて立派なスケッチをする必要はありません。目的は読み落とし・ミスの防止なので簡易的なものでいいです。

ノロアリのよくやってた読み取り間違え

数値条件を間違えてた

動線・ゾーニングを意識しすぎ、よく数値条件を忘れてしまう状態が続きました。

数値条件
面積オーバー
天井高指定(以上)
室面積不足(以上)
設置階指定違反
etc

忘れるどころか、結果が悪くなるにつれ課題を読まなくなりさらに結果が悪くな離ました。負のスパイラルです。

改善方法

最初にしたこと

動線・ゾーニングは一旦置いといて、数値条件のみ必ず守るようにしました。
確実に読み取り・確認・チェックを簡単をするために、数値条件用のマーキングの色(オレンジ)を統一設定。(色は何でもいい)
チェックは数値条件を最優先に。

それでもミスはしましたが、徹底的に同じ問題を復習しました。

課題は初心者用の課題で

一番最初にやる課題って本試験のように難易度の難しい問題ではなく学習を目的に簡単な課題となっているはずです。
その簡単な課題で確実にチャレンジするだけです。簡単だから意味はないではなく簡単だからこそ確実にの精神で挑みました。
また最初から難しい課題をやると混乱して改善になりません。

昨年度の試験落ちた人は読み取り落とし・ミスする部分を知ろう

読み落とし・ミスが直接落ちた理由でなくてもぜひ自分のことだから知ってほしいです。
そしてその改善方法を考えて、実行していきましょう。
それが本当の意味での学習になります。

「わかりやすく、確認しやすく、チェックしやすく」の考え方で改善する方法を発見するといいと思います。

まとめ

課題の読み取りをうまくするには

「わかりやすく、確認しやすく、チェックしやすく」この考え方を基本に手法を確立してください。

手法に関しては
学習したものをベースにしていいと思います。
どうすればいいかわからなければノロアリ の手法そのままパクってもらって大丈夫です。
でもどこかで壁にぶつかると思います。その時は「わかりやすく、確認しやすく、チェックしやすく」の考え方で改良してみてください。